「まずは作ってみなさい」と意欲を掻き立てられる世界の料理本
海外旅行で食べた料理がとびきり美味しくて、自由な料理の世界がぱっと開けたようになる。これが作れたらと思って日本に帰国する。そのチャレンジ精神に背中を押してくれるのが檀一夫の「檀流クッキング」。
実に多様な国の料理を「檀流」に料理しているのがこの本だ。
「うるさいことは言わない。やってみるべし。」
「はい、檀さん。」と従いたくなる。
「私の旅行癖や放浪は、私の買い出し愛好と重大な関係があるのであって、私にとってその土地に出かけていったということは、その土地の魚菜を買い漁り、その土地の流儀を、見様見真似、さまざまなものを煮炊きし、食ったということかもわからない」(『檀流クッキング』p.11 )
と言うように、実に多様な国の料理を「檀流」に料理している。
マカオに行って食べたポルトガル料理の干タラのコロッケが忘れられず頭の片隅に残っていた。ぼっとページをめくっていると何と作り方が載っている。
興味がなければ全く引っかからないページ。料理はそんなものだろう。食べてみないとわからない。そして旅に出ると「自分だって作れるはず」という、根拠のない自信と意欲がフツフツと湧いてくる。それは往々にして「やっぱり叶わない」「やっぱり現地で食べないとだめだ」という敗北感に変わる。そして「また行きたい」という次の旅を誘う。
本文は季節順(春〜夏、夏〜秋、秋〜冬、冬〜春)に構成されているが、国別にまとめると面白い。
アジア
・中国(ちまき、レバーとにらいため、前菜用レバー、タンハツ鍋、豚の角煮、イモ豚のはさみ蒸し、獅子頭、鶏の白蒸し、ダイコン餅、羊の肉のシャブシャブ、ジンギスカン鍋、豚の足と耳、麻婆豆腐、杏仁豆腐、焼餅、モチ米団子、牛スネのスープと肉のデンブ、牛の尻尾のシチュー)
・香港(イカの中華風、カキ油炒め)
・台湾(バーソー)
・韓国(ツユク、朝鮮風焼肉、牛豚のモツ焼、ナムル、野菜料理三種、朝鮮雑炊・心平粥)
インド
・インド(カレーライスインド式、チャツネ)
ロシア
・ロシア(ピクルス、シャシュリーク、ボルシチ)
アメリカ
・アメリカ(クラムチャウダー)
ヨーロッパ
・ドイツ(ザワーブラーテン)
・イギリス(ロースト・ビーフ)
・フランス(オニオンスープ、ブイヤベース)
・スペイン(イカのスペイン風、豚マメと豚キモのスペイン風、サフランご飯、パエリヤ、スペイン酢ダコ、スペイン風煎り貝)
・ポルトガル(干しダラのコロッケ、ビーフシチュー)
日本
・日本(カツオの叩き、タケノコの竹林焼き、こはだずし、大正ころっけ、みそ汁と丸鍋、柳川鍋・ウナギの酢の物、シソの葉すし・メハリずし、サケのヒズ漬けと三平汁、トンコツ、梅酢和え、蒸しナス、梅干し・ラッキョウ、カキの葉寿司、インロウ漬け、切り干し大根のハリハリ漬け、ソーメン、釜揚げうどん、ヒヤッ汁、アジゴマみそのデンガク、ユナマス、カレーライス、干しダラとトウガンのあんかけ、イモ棒、ブタヒレの一口揚げ、川マスのアルミ箔包焼き、鶏の穴焼き、サバ・イワシの煮付け、小魚の姿寿司、トウガンの丸蒸しスープ、オクラのおろし和え、キンピラゴボウ、ビーフステーキ、ビフテキの脇皿、ショッツル鍋、タイチリ、キリタンポ鍋、鶏の手羽先料理、アナゴ丼、魚のみそ漬、ヨーグルト、ヒジキと納豆汁、からし蓮根、牛タンの塩漬、博多じめ、酢カブ、伊達巻、蒸しアワビ、タイ茶漬、アンコウ鍋、鯨鍋、チャンポンと皿うどん、松江の煎り貝)
檀さんのように現地にいって、まずは食べて、作り方の一部始終を見て学ぶ。暮らしに根ざした旅のプランはさぞ楽しいだろう。
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