くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

超簡単!安心でおいしい、いくらの作り方

超簡単!美味しくて、安心安全な、いくらを自分で作ろう

 

10月に入り、涼しい雰囲気が漂い始め、秋を感じるようになりました。秋になると、様々美味しい食材が出てきます。その中の一つが、いくらです。

いくらは、お店で買うよりも、自分で作る方が断然安く、美味しくできます。これまでの実験を経て、完成した作り方をお伝えします。簡単で、安く、美味しく、安心な、いくらを目指します。特に安心ないくらを第一優先に作ります。

 

安心ないくらとは

最初にちょっと怖い話。作ろうという思いを削がれるかもしれませんが、ぜひ知ってもらいたいこと。それは、寄生虫。烏賊や鯖、鯵、鮭には、アニサキスという寄生虫がつきものなのです。このアニサキスが人間の胃壁や腸壁に入ると、急性アニサキス症という食中毒を起こし、激しい腹痛でそれはそれは辛い思いをするようです。実は、鮭の筋子にもアニサキスがいることがあります。生で食べるいくらにアニサキスがいたら、ちょっと怖いです。私はいくらがいくら美味しいものでも、食中毒のリスクを取ってまで食べたくはない、冒険はしたくないという考えです。素人が作って、食中毒するかもと思いながら食べても全然美味しくはありません。そこでアニサキスを完全に除去する方法をとります。

 

それが、70℃以上の温度の熱湯を使った方法です。

 

この方法のメリットは、確実にアニサキスを駆除できることです。アニサキスの除去には、目視による除去方法、よく噛んで食べることで死滅させる方法が取られることがあります。しかし、数ミリのサイズのものを、きちんと見分けて、除去できるかと言われると自分にはちょっと自信がありません。自分の力を過信しすぎて、失敗したことが数多くあるので、ここは慎重にならないといけません。さらによく噛んで食べるという方法も、それで本当に除去できるのか不安があります。実際に、アニサキスを齧ったという報告をされている茸本朗さんのブログによると、

春雨程度のものを想像していたが、実際は輪ゴム、いや軟質プラスチックほどの固さがある。
口から取り出してみても相変わらずのた打ち回る。
とてもじゃないが、刺身中にいるアニサキスを噛んで殺すなんてことはできそうにない
こりゃあ無理だわね…

寄生虫界の裏番長・アニサキスを積極果敢に喰ってみる | 野食ハンマープライス

とのこと。(こうやって、実体験を記録して公表されているのは、人類にとって大変ありがたいことです。)したがって、目視で除去や噛んで駆除は、確実性にかけるように思います。

 

一般に使う酢や塩では除去はできません。そこで確実な方法をとろうと思ったら、冷凍か加熱での駆虫となります。冷凍は、-20℃で24時間以上も冷凍しなければなりません。一方、加熱では70℃以上の温度につけると瞬時に死滅するとのこと。この情報は、厚生労働省や農林水産省が出している公式なデータなので信頼して良さそうです。いつか機会があれば、自分でも、本当に死滅するのか実験したいところでございます。(ちょっと、怖いけど。)

アニサキスによる食中毒を予防しましょう |厚生労働省

 

熱湯を用いる方法は、安全性のためだけではありません。熱湯を使うことで、網などの道具を使わず、ごく簡単に筋子の膜を取り除くことができるのです。これは、一度やってみれば誰でもできるようになります。

 

もちろんデメリットもあります。熱湯を使うので、いくらの粒が若干ながら硬くなってしまうことです。湯につけた瞬間、いくらが白濁し、いくらが茹で上がってしまうかもと思いますが、実際には70℃前後の湯を使って1分程度で手早く処理してしまえば、見た目はまったく普通のいくら。食感も、冷水で処理した場合とほとんど変わりません。第一、確実に安全であると思えれば、気持ちの面でも安心して食べられます。今回は安心を優先した作り方を紹介します。

 

いくらの作り方の手順

 まず、買ってきたいくらをほぐしてボールに入れます。

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 そして、塩を入れます。真水に浸すと浸透圧により、皮が硬くなってしまいますので必ず塩を入れてください。

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次に、お湯を注ぎます。沸騰させたままだと、熱すぎるので、少し冷まして、アニサキスの死滅する70℃前後の温度まで待ち、投入します。温度計がなければ、多少熱い湯でも大丈夫。いくらは簡単には茹だりません。

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筋子の膜をつかんで、箸でよくかき混ぜます。 そうすると膜だけが箸に残って、いくらを簡単にほぐすことができます。この膜は食べられませんので、捨ててください。湯を使えば、このように簡単にいくらにほぐせます。 

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小さな膜の残ったものや、割れてしまったいくらなどを水洗いしながら取り除いていきます。そして、ざるにとって、水気を取ります。白くなっているように見えますが、水気を切るうちに、元の赤いいくらに戻ります。

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味付けはお好みで。お寿司屋さんはこの味付けで独自性を出すそうです。今回は、①塩のみ(総重量の約5%の量を入れます。お好みで量を加減。)、②醤油のみ、それぞれ3種(井上古式じょうゆ、薄口じょうゆの井上こはく、香港で買った九龍醤園の3種)、③醤油+酒(井上古式じょうゆ1と清酒竹鶴 純米酒2の割合)を用意しました。醤油+酒は、煮切ってアルコール分をよく飛ばし、冷ましてから使います。今回、これら5種類の調味液を使って、どれが一番好みか実験しました。

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このまま一晩浸けておきます。1時間もつければ、充分美味しいですが、しっかり味を染み込ませるために、次の日に食べます。

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一晩待ってと思いましたが、我慢できず、1時間程度使ったものを食べてみました。写真は、塩味と醤油+酒のもの。塩味は、ザ・いくらと言う感じで、いくら本来の魚卵の味を味わえます。やや、ねっとりとした感じになりました。醤油+酒は、マイルドな塩気で旨み十分。1時間程度で充分美味しいお味です。

その後全ての味見をしましたが、醤油だけは、香港の九龍醤園の醤油がやや塩味が強いかなと思います。井上古式じょうゆの薄口と普通はそれほど大差ありませんでした。酒で割るよりも、醤油の旨味が強く、これはこれで、十分美味しいです。私の好みとしては、醤油+酒が良かったです。薄味で、生臭さもまったくなく、しかも、いくらそのものの旨味が味わえて良かったです。

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一晩おいた、いくら。事前に準備した炊きたての新米のご飯。後はもう好きなだけご飯にかけて食べてください。いくら、かけ放題の夢実現でございます。普段なかなかいくらを好きなだけ食べる事はできませんが、この時期限定の贅沢でございます。

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10月から11月にかけて、ちょうどいい具合の筋子が手に入る時期です。一本1000〜2000円もだせば、手に入る筋子。手間がかかるとみなさん敬遠しがちなのか、スーパーなどで、売れ残りで半額で売っていることもよくあります。一度やってみれば、だれでも超簡単にできます。手軽に、美味しく、安く、安全、安心に食べられる、いくらを自分の手でぜひ作ってみてください。この時期が、毎年待ち遠しくなるでしょう。

 

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