くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

地域活性化とは結局なにか?

安倍首相が旗揚げした地方創生。東京の一極集中による、地方の人口減少の歯止めをかけることを目的とした政策ですが、この政策を考える上でよくいわれる「地域活性化」。結局どのような状況になったら活性化したといえるのでしょうか。

今回、気鋭の論客である木下斉さんの『稼ぐ街が地方を変える 誰もいわなかった10の鉄則』を読みました。

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

 

 東洋経済オンラインでの掲載では、地域活性化において、官(行政)が関わることで起こる歪みを指摘をされております。辛辣でありながら、なぜかユーモアを感じるような指摘のされ方をしており、いつも興味深く読んでいます。

木下 斉 | 著者ページ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

活性化とは?

さて本書では、木下さんは地域の活性化とは

 

「事業を通じて経済を動かし、まちに新たな利益を生み出すこと」に尽きる

と指摘しています。

 

行政からの補助金をつけるきっかけとなった成功モデルは、補助金があるから成功したのではなく、経営を考えて成功したのだといいます。

例えば、商店街のポスターを作成すれば、補助金がでるという事業があるのですが、素敵なポスターを作成すれば、興味をひいた人が来ることは来るのですが、お店に魅力がなければ、その後リピーターになることはないのです。

 

地域活性化を「より良いまちづくり」など、曖昧なスローガンになってしまうと、事業として利益に向き合うことなく過ごしてしまいます。

地域の企業が売上を上げ、利益率を高め、地域へ再投資していくことで地域経済に変化をもたらしていくのです。

 

行政がもたらす功罪

地域活性化に関わるプレイヤーとしては、行政(官)がいます。地域のことは、行政がやるべき、すなわち行政主導で地域活性化をすべきと考える人達もいます。しかし、まちで利益を上げることこそが地域活性化と考えると、行政はどこまでそれに貢献できるのでしょうか。

 

行政は、税金を使ってさまざまな補助事業をする以上、特定の誰かだけが優遇されるようなことをできません。高齢者を優遇しても、若者から批判が出るし、若者を優遇しても、高齢者から福祉が不十分と批判が出ます。だから、その地域にあるコミュニティーの場をという全体福祉的な思考にならざるを得ません。行政主導では、合意形成のプロセスが必ず必要になるのです。

 

一方、まちで利益をあげるためには、こうした全体主義的な考え方ではうまく行かないことがおおいのです。特定の優秀な人達を優遇し、特定な人たちにターゲットをした、商品やサービスを狙っていくからこそ、売れるもの、儲かるもの、流行るものが生まれるのです。

 

つまり、行政主導による地域活性化は、構造的に成立することが難しく、民間で自由に事業を進めるときにこそ、本当の意味での地域活性化が成り立つのです。それは、予め全員の合意形成のもと、活性化を進めていくのではなく、「やりたい」と思ったひとが数人で集まり、ビジネスを作り上げる。また、まちづくりのプロジェクトを作り上げる。これを合意形成ではなく、実効性ある形で進めることにこそ、地域活性化の芽があるといいます。

 

本書では、これ以外にも、木下さんの実際に関わったプロジェクトから、10の鉄則が導き出されています。「小さく始めよ」「補助金を当てにするな」など、「事業を通じて経済を動かし、まちに新たな利益を生み出す」ための指針が書かれています。

どれも、ビジネスを立ち上げる際の原則なのですが、地域活性化の文脈に置いては忘れがち、疎かになりがちのもの。それは、行政主導で行なうことで歪みがでるからなのですが、木下さんの本はこうしたことを知る格好の本と思います。

 

 

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

 

 

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