くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

難しい質問に対する切り返しの方法

会話の中で答えを出すことが難しい質問を受けたとき。しかもその質問への対応で自分の力量を測られるような場面。例えば採用面接、商談など。そんな時、人はどんな切り返しをしたら納得させることが出来るのでしょうか。

 

この対談記事を読んでいて、面白い切り返し方を学びました。

広告を「手段」に、本質に迫る仕事を追求する。「刻キタル」代表 岸勇希×「北欧、暮らしの道具店」代表 青木耕平【前編】 – クラシコムジャーナル

 

「北欧、暮らしの道具店」代表の青木さんと元電通マンの岸さん。巨視的な視点でものごとを考える青木さんは、岸さんにこんな質問をします。

 

この過去20年ぐらい、岸さんがお仕事を始められてから、人もマーケットも会社も変化していますか。それとも、何も変わってないと思うのか、どちらなんでしょう。

 

この質問に、短く答えるとすると、

  1. 変化している
  2. 変化していない
  3. 変化しているとも言えるし、していないとも言える

 の3つがありえます。

しかし、そもそもこの質問は答えはありません。単なる雑談であれば、思いついたままに答えれば良いですが、どんな風に答えるかでその人の考える力が現れる質問でもあります。

 

岸さんは、広告を通じてクライアントの課題を解決するという仕事をしている方です。つまり自分が商品というタイプのビジネス。クライアントから、この人なら仕事を任せられると思われないといけない状況に常にさらされている人だと思います。さて、どのように回答したでしょうか。

 

すごく深い質問ですが、ご期待に添えない回答をしちゃいます。本当のこというと、僕はその問いに興味がないんです。

 

相手は、おそらく1〜3の答えから、どんな風に立論していくかを見ているだろうということを見越して、期待には答えられない回答をしますと宣言しています。更に凄いのは、その問いに興味がないという発言です。えー、そう答えるか、普通じゃないぞと感じさせます。

 

相手が投げかける質問に対して、「その質問には興味がありません」という回答は中々勇気がいります。普通はそのようなコミュニケーションを拒む回答をしたら、その場の雰囲気は悪くなります。

 

でも、実は「僕はその問いには興味がないんです」という回答こそに、岸さんのキャラクターや独自の視点を集約した回答になっているのです。

 

みなさん、とくに青木さんのように知的好奇心の高い方は、世の中の摂理を解こうとされます。だけど僕は、「僕に仕事を頼んできた人」しか見ていません。

 

まず、質問をした青木さんに対して、「知的好奇心の高い方」という、相手への尊敬を伝えます。そして、自分の仕事のスタイルとして、「仕事を頼んだ人」の問いしか見ていないということを表明します。そして、その人達の問いは、世の中のトレンドなどをマクロ的にみて摂理を解くというアカデミックな問いよりも、結果が求められる経営課題であり、自分はそれに対して答えを出す=依頼に対して成果を出すことに注力しているという仕事への姿勢を伝えます。こう言われると、依頼したらきちんと結果を出してくれそうと思ってしまいます。

 

ただ、ここで会話を終えてしまうと、質問に対してキチンと答えない人と思われてしまいます。それでは誠実な仕事をする人には思われません。

そこで、

ただ、せっかくいただいたご質問なので、この場で答えを考えるなら、「変わっているものと、変わっていないもの、そして変われないもの」が混在しているのが実感です。色々あるから、みなさん混乱するんだと思います。

と、先の分類で言えば3の回答をします。その後、その理由や具体例を追加で話していきます。最初からこのように回答しないところがすごい。自分のスタンスや仕事に対する姿勢を伝えてからこのように解答することで、この回答の深みが出てきます。

 

そして最後に、

いずれにせよ、個人的には、その問いを追うよりも、目の前にある課題にまっすぐ向き合った方が、結果的に正しい景色が見えると信じています。 

と、マクロ的な視点で物事見て世の中の動きを理解したいというタイプの質問をした青木さんに対しても、その視点に頭をつかうよりも目の前に見えている経営課題に取り組んだほうがよいという指摘をやんわりとしているようにも感じます。

 

対話の中で相手に納得してもらう回答というものを超えて、相手の考える枠組みを壊してより良い視点を提供する回答とも言えます。しかも相手に配慮しながら、こういう回答が即座にできると、この人はすごい人だと感じるでしょうね。

 

二人の対談のほんの一部でしかないのですが、切り返し方の極意を見たような気分になりました。

 

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