くらしのちえ

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獺祭の海外生産がひらく日本酒の未来

獺祭について、記事にした昨日。すごいニュースが入ってきました。獺祭がアメリカで日本酒を生産をスタートさせるそうです。

 

www.nikkei.com

獺祭は、アメリカの料理学校「カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ」と組んで、アメリカで日本酒生産を2019年1月から始めるのだとか。1800klの生産能力で、初年度は120klの出荷を見込んでいるのです。米はアメリカ産のものを使うのだそうですが、麹米には日本から輸出した山田錦を使うのだそう。

 

現在アメリカでは、アメリカ産の日本酒が市場の大半を占めています。このアメリカ産の日本酒は、月桂冠、宝酒造、大関、ヤヱガキがアメリカで生産しているものなのです。2015年の生産量を記すと、宝酒造7990kl、月桂冠6150kl、大関3430klとなっております*1

 

このアメリカ産の日本酒はカリフォルニアの米(カルローズ)を使って作られた、まさにアメリカの土地で作られた”地酒”であるのです。価格帯は10ドル以下で、大抵の日本食レストランでハウスサケやホットサケとして売られるものです。味わいは日本の日本酒よりもさっぱりとしたお味で、当地で飲むとそれなりに美味しく飲めるものでした。低価格帯の日本酒はほぼ、このアメリカ生産日本酒がアメリカ市場の大半を占めています。アメリカの人が飲んだことのある日本酒と言えば、この現地生産日本酒でしょう。

 

現地生産の日本酒以外に、日本からの輸出が増えています。2015年で4780klですが、年々増加しているのと、日本産日本酒の単価が増えています。高価格帯の日本酒は輸出の日本酒が占めています。ここの価格帯は日本で買う価格の2〜3倍といった所になります。20ドルのものが40〜60ドルという価格帯になるのです。

 

アメリカ市場では、日本のナショナルブランドが作る現地生産日本酒か、かなり価格高い日本産日本酒という二極化が進んでいたのですが、この中間の価格帯に獺祭が入り込もうとしているのです。1800klの生産能力ですが、おそらく年々拡大していくポテンシャルを持つポジショニングをしています。獺祭のプレミアムサケとして受け行けられれば、日本食レストラン以外にも日本酒が飲まれるような未来が開けています。

 

そのために、やはり、日本で作る獺祭のようにスッキリと美味しい日本酒をアメリカで作ることができるかが重要です。その際、獺祭の特徴である山田錦をいかにアメリカで調達するかが今後カギになるのですが、実は山田錦はアメリカでも生産が行われつつあります。このあたりの動きを睨んで、今後はアメリカ生産の山田錦を使ったアメリカ産の獺祭が作られる日も近いのかもしれません。そうしたら、獺祭がアメリカ生産を足がかりに世界に輸出される酒の一大拠点となる可能性があります。今後も獺祭の動き、見逃せません。 

 

逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法

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*1:酒類食品統計月報2016年4月号。


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