くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

クリエイションの具体的な方法

今日は、ある本から学んだ「クリエイション(創作)の具体的な方法」を紹介します。

 

その本は、「コート・ドール」というフレンチレストランでオーナーシェフをされている斉須さんのご著書『調理場という戦場 「コート・ドール」斉須政雄の仕事論』。

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)

斉須さんがフランスのレストランで働かれていた時代の出来事を斉須さんの哲学とともに語っています。

 

 本のなかで出てくる、コート・ドールで有名な赤ピーマンのムースがいかに生み出されたかという話は、料理だけでなく、何かクリエイションをするということを考える上でとても興味深い内容でした。

 

赤ピーマンのムースは、ベルナールさんが発明した料理。赤ピーマンをケーキのようにムースにして、オードブルにするという甘くない料理です。ベルナールさんは、フランスの修行時代の同僚、友人、先輩であり、後にフランスで一緒に独立してお店をオープンした方。

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(コート・ドール/赤ピーマンのムース)

 

ベルナールさんは最初は、緑色のピーマンを生の状態でミキサーで液体にし、コンソメで煮てみたそうです。そうすると、エグくて食べられなかったそう。こうしてうまくいかないと、普通は最初の方法でなんとか続けてみようとしたり、やめてしまったりするところを、改良をしていくところが、すごかったとのこと。

 

最初の方法でうまく行かなかったので、1日でその方法はやめてしまいました。そして、次の日には、別の方法を試していたそうです。赤ピーマンに変更したり、皮を向いたり、ただ皮を向くだけでなく、焼いて真っ黒にして水で流す方法を試したり、極め自然に「操作の手順に無理のない」方法を、「静かに隅っこで」試していたのです。

 

 「この方法、よくないな」と思ったら違う方法にすぐに移る。彼の方法の推移が劇的に良い結果を生んでいるのを目の当たりにしました。ダメだと思ったら引いて、別のことをやってみるというのを絶えず、しかも静かに持続しているのです。微細なことのように見えますけれど、クリエイターとしてその考えと行動はとても重要なポイントだと思います。

(『調理場という戦場 「コート・ドール」斉須政雄の仕事論』幻冬舎文庫、2006年、p.126)

 静かに改良を繰り返す姿は、はたからは創作活動に打ち込んでいるようにみえないと斉須さんはいいます。クリエイションというとすごいことをしている派手な印象ですが、「気負わず静かに継続して改良することこそが具体的なクリエイションの方法である」ということをこの赤ピーマンのムースの話から学びました。

  

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)

調理場という戦場―「コート・ドール」斉須政雄の仕事論 (幻冬舎文庫)

 

 

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