一昨日は、先日ご紹介した本屋B&Bのイベントに参加してきました。
このイベントは、地域活性化の論客である木下斉さんが講演者でした。『町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト』をご出版なされた猪谷千春さんとの対談です。
猪谷千香×木下斉「失敗しないまちづくりとは?」『町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト』(幻冬舎)『地方創生大全』(東洋経済新報社)刊行記念 | 本屋 B&B
東洋経済オンラインの連載がきっかけで、木下さんのことを知りました。
地方創生のリアル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
地方活性化で様々な取り組みをされているのに、なぜうまく行かないのか。特に、公共部門が決定的に足りないのはビジネスの視点。木下さんの主張は一貫してビジネスの観点の重要性を指摘しています。
地方活性化の名目で政府や自治体は助成金や補助金を投入します。その結果、これらの公的資金を当てにした事業が生まれはするけれど、お金の面からうまく行かない事例が山ほどある。失敗事例も赤裸々に名指ししています。これだけ、名指しして、敵は多くならないだろうかと心配になるほどです。
この連載は、どれも興味深い論点で地方創生の問題について興味を持ち、いくつか木下さんの書かれた本を読みました。
そして木下さんはどんな人なのだろうと言う興味も持ちました。鋭い視点をもっている木下さんは、どんなしゃべり方をするのか。どのようなスタイルで対話するのか。
登録しているB&Bのイベント案内を受け取って、その場ですぐに申し込みました。
イベントの様子
当日参加者は、約50名前後。立ち見席が出るほどの人気のイベントでした。男性:女性が2:1といった割合。学生、スーツ姿の男性、公務員風の方などが参加者でした。意外だったのは女性は20〜30代が多かったこと。若い人も興味を持っているのだとわかりました。
木下さんは、ロールアップしたジーンズ、ネルシャツ、ニューバランスとカジュアルなスタイルで登場しました。
イベントは、『町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト』をご出版なされた猪谷千春さんから岩手県紫波町のオガールプロジェクトの事例をお話されながら、途中で木下さんが解説をするという形式の対談でした。本で書けなかったことも当日ではいろいろとお話くださいました。
オガールプロジェクトの概要
オガールプロジェクトは、紫波中央駅にあった町有地を開発するプロジェクトです。紫波町は南に花巻、北に盛岡という間に立地していて、盛岡のベッドタウンのような町。町の主要産業は農業で、3万4千人の町です。
この町には、東京ドーム2個分もの駅前のエリアが何も使われずに塩漬けにされていました。町役場を移築し、それまで町になかった図書館を開発するための場所として1998年に購入されたのですが、その後建物を建設する費用が捻出できず、そのまま放置されていたのです。雪捨場に使われていたそうです。
ここに、図書館を設立するだけでなく、商業施設、バレーボール等のスポーツ施設や宿泊施設を複合的施設として活用するプロジェクトがオガールプロジェクトでした。
このプロジェクトの特徴は、公民連携。自治体が施設を建設し運営していくというモデルでは、町の収入を圧迫し運営ができないので、民間の投資や融資を入れながら、商業施設で収入を稼ぎその稼ぎによって公共施設を運営するという、自立した「稼ぐインフラ」として機能させるというものでした。
このオガールプロジェクトの内容については、本を読んでいただくとキープレイヤーのプロジェクトを進めるプロセスが、よくわかると思います。
参加してよかったと思うこと
まず、良かったのは木下さんの本でよく登場するオガールプロジェクトの実態がよくわかったこと。丹念な取材を重ねられてきた、猪谷さんからのお話が詳細で、そこで木下さんの解説が加わりとてもリアルな絵が頭に浮かぶように思いました。
参加するきっかけとなった、木下さんのスタイルについて、いろいろな失敗の実例を揚げることで敵は多くならないだろうかと心配になるほどだったのですが、実際の木下さんは、とても好感触な人でありました。まず、会場は木下さんが発言されるたびに笑いが起こっていました。 その笑いも、だれかを蔑んだり、貶めたりして笑わせるのではなく、ギャグや面白い例えをするというかたちの笑いでした。
例えば、商業施設において、上階の施設を充実させることで人の流れを作り下階の店舗でも買い物をしてしまうというシャワー効果についてお話されたときの例が面白いなと感じました。「最近はシャワー効果は起こらないですよ。だって、靴の底がベロっと剥がれて、目の前に店があったから買おうなんてこと、今の時代ないですよ。欲しいものがあるから、そのお店に買いに行くんです。店が目の前にあるから、買うなんてことはないんですよ」
こんな感じで、全ての発言で面白い例えやギャグ、興味深い事例、そして自分の知らない現場のリアルを教えてくれるような発言で、ずっと惹きつけられました。
このように、文章だけ読んで知っている人のひととなりが知れるB&Bのイベントは好奇心を満たしてくれる場であります。今後も、興味ある作家さんのイベントに参加していこうと思います。
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