くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

韓国でもっとも有名な日本酒「がんばれ父ちゃん」

日本の隣国、韓国でも日本酒が飲まれています。清河(チョンハ)という、ロッテが作る現地生産の清酒もあるのですが、日本から輸出される清酒でもっとも有名でよく飲まれるお酒をご存知でしょうか。

 

韓国で年配の方は久保田、越乃寒梅などの、日本の地酒ブームの時に有名になったブランドをよく知っています。韓国企業のビジネスマンがこうしたブランドを贈り物にしたり、会食などで飲んだことで、ビジネスマンを中心に日本の地酒ブランドがよく知られるようになったそうです。今でもブランド力のあるこうした地酒をお土産に持っていくと喜ばれることが多いようです。

 

でも、現在最もよく知られ、よく飲まれている日本酒は、日本人があまり馴染みのないブランドです。

 

「がんばれ父ちゃん」というお酒なのです。

 

新潟清酒 がんばれ父ちゃん パック900ml

新潟清酒 がんばれ父ちゃん パック900ml

 

 

新潟県外で売られていることがあまりないので、みたことがない方が多いと思います。でも、韓国でこのパック酒が最もよく知られ飲まれている日本酒なのです。

韓国の居酒屋で、新潟県民に馴染み深いお酒がヒット - Excite Bit コネタ(1/2)

 

下記の記事*1 によると、「がんばれ父ちゃん」を輸出開始した2006年には、8700本だったものが、2016年には46万本まで販売数が拡大したそうです。

http://news.hankyung.com/article/201701021683i

韓国に輸出された日本酒は、2015年には3367kl。(農水省のデータより)

http://www.maff.go.jp/j/seisaku_tokatu/kikaku/pdf/07shiryo_04.pdf

 

ここから、「がんばれ父ちゃん」の韓国内の日本酒に占めるマーケットシェアを計算すると、

韓国内で販売された「がんばれ父ちゃん」46万本→0.9l×46万本=414000l=414kl

(900mlのパック換算)

 

414kl÷3367kl×100=12.3%

となります。

一ブランドで韓国内の日本酒(日本産)シェア12.3%も占めているのです。

 

なぜ、ここまでがんばれ父ちゃんが売れているのでしょうか。

背景には、韓国での「日式居酒屋」のブームがあります。「日式居酒屋」とは、日本式の居酒屋のことで、例えば和民のようなチェーン店も進出していますが、現地資本でも日本風な居酒屋がブームとなっています。この居酒屋で、日本酒を飲むというのが若い人たちでは流行っています。

 

日式居酒屋で「がんばれ父ちゃん」はとても都合が良いのです。比較的安価な価格のパック酒で900mlとたくさんあり、焼酎よりも低アルコール。大人数の若者がワイワイと楽しみながら飲むお酒として重宝されています。

 

ではなぜ、宝、大関、月桂冠などの大手ナショナルブランドのパック酒ではなく、日本で無名な「がんばれ父ちゃん」が売れているのでしょうか。それは、2006年という良いタイミングで現地の輸入業者が精力的に販売を広めた事が大きいようです。さらに、このインパクトあるデザインが受け入れられました。日本で売られているパッケージそのままで、現地でも売られています。「がんばれ父ちゃん」というインパクトあるネーミング。そして、お父さんを意図したユーモラスな漫画絵。さらにお酒の中身は新潟の米を使って新潟の白龍酒造が作った、れっきとした新潟清酒。こうした要素で韓国人に受け入れられて、もっとも飲まれるお酒となったのです。

 

日本ではやっているものが、海外でも流行るというパターンはよく聞くのですが、日本では全く無名なのに海外ではとても有名なものというパターンがまさにこの日本酒。

 

韓国から日本に旅行に来た韓国人が最も知っている日本酒ブランドを、日本人が知らないというとても面白い現象が起こっています。

 

 

 

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*1:韓国語の記事です。google翻訳で、内容を確かめました。


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