日曜の夜。次の日の仕事のことについて考えていた。どういう段取りで仕事を進めようか。そして、誰にどうやって話を通そうか。そういう、ポジティブな仕事の段取りのことだけではなかった。憂鬱な会議、嫌だなあという気持ちが頭を支配しつつ、その日は眠りについた。
月曜日の朝、スターバックスによった。アイスショートラテを頼む。
以前、アイスショートラテなのか、ショートアイスラテなのか、ショートラテアイスなのか、どの順番で言ったらいいか迷うことがあった。これについては、じっくり考えて一定の答えを出した。店員さんの気持ちになったときに、どうやって言えばスムーズにオーダーが通るか。店員さんとしては、注文の種類が何なのか(すなわちラテ)よりも、どんなカップを取ったらいいかを気にするのではないかと仮定した。カップを選ぶ際に、2つの選択軸がある。まずは温度。アイスかホットで紙のカップかプラスチックのカップかがわかる。次にサイズ。ショートか、トールか、あるいはグランデか。温度とサイズの2軸がわかれば、カップを手に取り、店舗によっては注文内容のシールを張り、あるいは手書きで書き、ラテを作る店員さんにバトンタッチされる。
問題は、温度を先にいうべきか、サイズを先にいうべきか。これは、極めて感覚的な結論だが、温度のほうがわかりやすいと考えている。紙カップか、プラスチックのカップかを頭に思い浮かべてもらったほうが選びやすい。次にサイズで、小さいのか、中くらいのか、大きいのかを思い浮かべてもらって手にとってもらうほうがスムーズのようである。そうすると、注文方法は「アイスショートラテ」となる。
人間は最初の単語に影響を受ける。最初の単語がトールとか、ショートとか、サイズを思い浮かべるよりも、熱いのか、冷たいのか、したがって紙かプラスチックかという方が理解がしやすいのだろう。実際、ショートアイスラテと注文すると、「ショートアイスラテは、アイスですか、ホットですか」と聞かれた事が2回ほどある。多分彼女の思考は温度→サイズだったのだろう。ショートアイスラテのホットとはどんなものだろうか。
アイスショートラテの問題も、勝手に頭の中で問題提起され、勝手に考えが進んでいく。おそらく、人間は、自動的に思考が働き、どんなどうでもいいことでもつまらないことでも考えてしまう存在なのだ。
話がだいぶそれてしまったが、知らないうちに考えてしまう、その内容が問題である。楽しかったり、いい気分になるのであれば、まだいい。しかし、日曜の夜に仕事のことを考えるのはいただけない。しかも、憂鬱な会議を思ってなおのこと事前に憂鬱のリハーサルをするのはなんともったいないことだろうか。憂鬱になるのは、その会議の瞬間だけでいいのではないだろうか。
このようにアイスショートラテを飲みながら思った。「憂鬱になることは、憂鬱な出来事が起こるその瞬間だけでいいのではないか」自分のことながら、これはいい考えを思いついた。不安になったり、憂鬱になっていると気づいたとき、それは思考がオートパイロット状態になっているときである。そんなときは一息ついて、別のことを考えたほうがいい。意図的に別のことを考えるシグナルなのだ。