くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

久しぶりに読んだ『夢をかなえるゾウ』

久しぶりに読んだ『夢をかなえるゾウ』。

発売時期に話題になっていたときにすでに読んでいましたが、もう一度読み返してみることに。すでに、手元になかったので、古本屋で購入。

 

自分を変えたいという主人公。関西弁をしゃべるガネーシャが様々な教え=課題を出して、ちょっとずつ成長するというストーリー。

 

ジャンルとしては自己啓発に入る本。その教えの内容をまとめてしまうと、極めて陳腐にも見えてしまうのですが、読ませる力がすごい。

 

・靴を磨く

というステップから入り、

・コンビニでお釣りを募金する

・食事を腹八分目にする

など誰でも出来る内容であり、しかも、自分を変えるというと、もっと大層な教えを期待してしまうところをあえて、最初は変化球にするというのが面白い。

 

最終的には

・サービスとして夢を語る

・人の成功をサポートする

・応募する

・毎日、感謝する

という、やや高尚な教えで締めくくる。

 

本の面白さ=コンテンツ×伝え方

 

とすると、コンテンツ自体はどこかで聞いたことがある内容であり、それほど目新しさはない。だから、本書でガネーシャが出す課題の要約版を読んだとしても、面白さはあまり感じられないだろう。でも、伝え方の力がとても強く、一気に読みたくなるような面白さを持つ。

 

関西弁を喋り、図々しく、でも憎めない愛らしい人間臭い神様=ガネーシャという設定が鍵となっている。真面目な神様が教えるというのでは、駄目。いつもは全然仕事をしないのだけれど、緊急のときにはすごくいい仕事をするので重宝がられる人。普段はダメダメだからこそ、たまにいいことをしたり、言ったりすることが輝く。その手法が取られている。

 

本書に出てきて印象的だった言葉は「期待は感情の借金やからなあ」というもの。

 

自己啓発本の弱点は、結局何も変わらないこと。読んでいて元気が出るのだけれど、その元気は自分がこの本を読んで素敵な自分に変われるという期待であり、それは実際に実現していない将来の自分のいい気分を前借りしているに過ぎず、結局すぐに行き詰まる。

 

この本では、靴を磨くから初めて、実践できるハードルを徐々にあげながら、実際にやってみようと思わせ実践させることで、自己啓発本の弱点を克服しようとしている。他の本に比べて、その試みはうまく行っていると思う。

 

がしかし、やはりそこは本だからこその限界として、やったかやってないか、ガネーシャのようなチェックする人がいないということなのである。ガネーシャの重要な役割は、(1)自分を変える課題を出す、(2)やったかやっていないかをチェックすると2つがあるが、(2)は最も重要な役割だと思う。

 

ガネーシャは最後に消えていなくなる。チェックする人がいなくても、自分で決めた課題をこなしていくことでこそ、人は変わることができるという著者の水野さんの思いを感じる。

 

しかし、実際にこの本を一回読んで面白かったで済まさず、そこから自分を変えられた人はどれくらいいるだろうか。過去にこの本を読んだ自分自身を振り返ってみても、多くはいないのではないか。

 

本書を読んだ人がガネーシャから受け取る事ができるのは、課題である。課題をチェックする役割は、本からは受け取ることができない。

 

やはり、課題をこなしていることをチェックする人=ガネーシャを自分で見つける事ができるかできないかが、実行し続ける事ができるかの分岐点になると思う。多くの人は、誰かからチェックされなければ動かないのである。だからこそ、人は簡単には変われない。では、どうするかは、自分で答えを出すしかないのである。

 

 

夢をかなえるゾウ

夢をかなえるゾウ

 

 


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