「大切なものは、目に見えない」
サン=テグジュペリの『星の王子さま』の有名なセリフです。
一見すると、子供向けの簡単なストーリーかのように思えるのですが、深読みしなければその意味が理解できない本なのです。
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,河野万里子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 文庫
- 購入: 24人 クリック: 119回
- この商品を含むブログ (181件) を見る
バラの大切さを知る王子様
これから、本書をざっと簡単にハイライトしてみます。
6年前「ぼく」がサハラ砂漠の上空を飛んでいた時、エンジンが故障して不時着しました。そのときに出会ったのは、金髪をした星の王子さま。王子様はひつじの絵を書いてほしいと言います。そして、満足する絵を描くと、王子様はいろいろとこれまで旅をした経緯を話してくれるのです。
王子様のいる星は、本当に小さな星で、ちょっと歩いたらすぐに元の場所に戻るくらい、普通の家くらいの大きさしかないのです。
王子様の星にはバラの木がありました。そこには一つだけ花が咲いていたのです。バラは王子様にトゲのある言葉を投げかけます。王子様は、言葉のトゲに嫌気がさし、自分の星から逃げ出してしまいます。
その後、いろいろな星を経由して地球にたどり着きます。そして、地球では、たくさんのバラに出会います。自分の星では、大切なたった一つのバラだったのに、地球ではたくさんのバラがあります。ありふれたつまらないものだったと思い、悲しい気持ちになりました。泣いているところに、きつねに出会います。
寂しさを紛らわせるために、きつねと遊ぼうとします。でも、きつねは、時間をかけて仲良くならなければ遊ばないと言います。すこしづつ、時間をかけて仲良くなる王子様ときつね。時間を決めて仲良くならなきゃときつねはいいます。
「きちんと決めてあるから、ある一日が他の一日と異なる。ある時間が、他の時間と異なる。そういうことなんだ」
こうして、きつねと仲良くなった王子様は、出発する日が来ました。時間をかけて仲良くなったので、王子様は悲しいと言います。友達にならなきゃよかったと言います。それに対してきつねは、
「そんなことはないさ。黄金色の麦を見て、ぼくは君を思い出すようになった。君のことを大切におもようになったんだ」と言います。
そして付け加えていいました。
「バラの花たちをもう一度見に行ってごらん。そうすれば、君のバラが世界にたった一輪しかないバラだっていうことがわかるから。」
地球のバラの花をもう一度見に行った王子様はわかりました。バラたちは確かにうつくしいけれど、自分の星のバラとは違う。自分が水をやり、ついたてをたて、ガラスの器を被せたり、世話をしたものだから。
それに気づいた王子様は、きつねのもとに戻ります。きつねは大切な秘密を教えてくれます。
「ものごとはハートで見なくちゃいけない、っていことなんだ。大切なことは、目に見えないからね」
「君がバラのために使った時間が長ければ長いほど、バラは僕にとって大切な存在になるんだ」
人間はこのことを忘れてしまっている。誰かと一旦仲良くなったら、いつまでも、その人との関係を大切にしなきゃときつねはいうのです。
さて、このような王子様がこれまで過ごしてきた時間を聞きながら、「ぼく」とお別れのときが来ました。王子様はへびに噛まれることで、自分の星に戻っていきます。そして、「ぼく」は飛行機の修理が出来てまた自分の家に戻っていくのです。
きつねが教えてくれたこと
きつねは、先生でした。『星の王子さま』の読み解きは、様々な方法があるそうですが、ここでは、きつねが教えてくれたことにフォーカスして理解してみました。
王子様はいままで1つしかなかったから大切だと思っていた「バラ」。それで地球にくると、バラはいっぱいあってありふれたものだと知る。一般的なバラがあった。たくさんあるのであれば、自分のバラはつまらないようなものに見えてくる。
でも、きつねは、身をもって教えてくれます。きつねと過ごした時間が長ければ、特別な友だちになれる。また、「バラ」との時間が長ければ長いほど、他のバラとは違う関係が生まれるのです。
同じバラでも、特別なバラがある。それはハートで見ないとそれは見えないというのです。大切なもの、それは目に見えない。目に見えないけれど、それが大切なものである。
王子様は、そんな教えをきつねとの交流を通じて教えてもらうのです。
さて、翻って私達の生活でバラは何になるでしょうか。あなたにとってバラは何でしょうか。自分にとって大切なもの、それは自分のハートで見ないといけないのです。ハートで見ないといけない大切なものが何なのか改めて考えさせられます。
・・・・・
さてさて、このように本書の中で述べられる名言、出会う人の特徴など、自分の生活に置き換えて、考えながら読むことで、深い味わいができる本書。おりをみてまた読み返したい本の1つです。
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,内藤濯
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/03/10
- メディア: ハードカバー
- 購入: 19人 クリック: 501回
- この商品を含むブログ (313件) を見る
---------------------------
「くらしのちえ」を気に入っていただけた方は読者ボタンをポチッと押していただければうれしいです
twitterでブログの最新情報やアイデアを発信しています、こちらもぜひフォローお願いします
--------------------------