和食は、2013年ユネスコ無形文化遺産にも指定されており、世界中で食べられています。
世界中の日本食レストランの数も、2006年には約2.4万店だったものが、2013年には約5.5万店、さらに2015年には8.9万店とここ10年で約4倍も増えているのです。普及した原因は、ヘルシー志向の時代にマッチしたといわれています。
では、世界で普及している和食はどんな形で普及しているのでしょうか。今回、これまで訪問したアメリカのスシについてご紹介していきたいと思います。
ロール系スシの進化
海外のスシといえば、カリフォルニアロールを思い浮かべる人が多いかと思います。カリフォルニアロールの特徴は、カニカマ、アボガドマヨネーズなどの具材を、裏巻きしたものです。ロサンゼルスのリトルトーキョーにあった「東京會舘」というレストランで1963年に考案されたそうです。50年以上も歴史があるものなのですね。日本でも、回転寿司に行くと食べられますね。生魚を食べる習慣のなかった国の人にとって、ビギナー向けスシとして大いに普及しました。
さて、アメリカではカリフォルニアロールから派生して、様々なタイプのスシが普及しています。今回、様々なスシロールをご紹介していきます。
最初に紹介するのはこちら。サーモン、アボガド、マグロの上にトビコを載せたレインボーロール(Rainbow roll)です。中にはカニカマとアボガドが入っています。
こちらも別のお店のレインボーロール。レインボーロールのなかには、マヨネーズとほぐしたカニカマです。斜めにカットしてずらしてあるので、一貫一貫取りやすく、スシのように食べられますね。
レインボーロールは有名なロールなので、レシピも出ております。
Rainbow Roll Recipe - Sushi Roll Recipes - Sushi Encyclopedia
さてこちらは、ゲイシャキッス(GEISHA KISS)というロール。このお店オリジナルロールです。海苔の代わりにきゅうりで巻かれており、マグロ、カンパチ、サーモン、マヨネーズカニカマ、アスパラガス、アボガドが中にはいっています。ぽん酢がかけられています。いろどりにとびこがあしらわれています。ご飯が一切入っていません。ですので、ヘルシーなものを食べたいという人向けでしょうか。
さて、こちらは、上からブードゥークイーン(Voodoo Queen Roll)、ガーリックサーモンロール(Garlic Salmon Roll)というロール。ブードゥークイーンは天かすが上に載せられてて、サーモン、アボカドが載せられています。ガーリックサーモンロールは、ガーリック風味のオリーブオイルにつけたサーモンを炙ったもの。中には海老天となんとクリームチーズが入っています。こちらのロールはどれも、お店創作レシピのようです。
横から見た断面図はこちら。アボガドとマヨネーズがとにかく大量に入っています。お味は、繊細さとは程遠いですが、頭の中のお寿司という概念を取り去って食べれば、美味しく食べられます。銘柄を指定せず、ただ、お酒と注文すると出て来る、激熱のホットサケ(徳利が熱くて手で持てないぐらいです)とともに味わうと、これはこれで1つのジャンルだなと楽しい気分で食べられます。アメリカ産のサケが、さっぱりとしているので、案外料理と合うのですね。
さて、こちらはもっと、すごいですよ。ラスベガスロール(Las Vegas Roll)です。なんと、エビ天ぷら、マグロ、カニカマを巻き上げたものを、天ぷら粉をつけて上げてしまうのです。すごいぞアメリカ。ロールをそのまま揚げてしまうとは。
近くから見るとこんな感じ。これだけ見たら、何の食べ物かわからないでしょう。甘辛いソースがかかっています。このラスベガスロールは、このお店オリジナルというわけではなく、各地で食べられている一般的なロールメニューのようです。
さて、最後にご紹介するのは、こちら。いちごが載っています。その下にはホタテ。残念ながら、こちらのロールのお名前は忘れてしまいましたが、いちごのインパクトはとても大きいですね。
自由な試行錯誤から生まれる、なにかすごいものを期待して
今回、世界で日本食、特に様々なタイプのスシが食べられていることをご紹介しました。天ぷらを巻いた上で巻きずしごと天ぷらにしてしまうものや、いちごがのったものなど様々なタイプのスシロールが登場しています。
こうしたものを日本人の我々がみて何を感じますでしょうか。最初は確かに違和感が多くこれをスシと呼んでよいのかと思います。そして、食べてみると、おいしく食べられる。スシというと繊細な料理をイメージしてしまいますが、これはこれでいいのではと思えてきます。
日本で食べるお寿司では絶対味わえない、海外のスシ。こんなの、日本料理じゃないと無視することは可能です。でも、こんな試行錯誤は日本人では出来ないでしょう。寿司の概念が完成してしまっているからです。スシを自由に捉えて改善していくことは、もちろん失敗も多いことと思います。しかし、その中から日本人では発想できなかった、素晴らしい料理が生まれるかもしれません。そんなふうに海外のスシを温かい目で眺めることがいいのではと思います。新しいものは、日本料理を先入観なく自由に捉え直し、試行錯誤する中でしか生まれないからです。
案外悪くないですよ、海外のスシ。あー、こんな自由でいいのだなと楽しい気分になれるのです。
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