くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

獺祭「逆境経営」を読む

カワウソのまつりと書いて、獺祭。

日本を代表する山口の日本酒です。プレミアムが付いて、酒販店で高く販売されていて、「獺祭を高く買わないでください」という広告を出すほど、人気なお酒です。

 

 しかし、この獺祭人気は、1984年に旭酒造の三代目として後を継いだ、現会長の櫻井博志氏が1990年に獺祭ブランドを生み出したことからスタートする比較的最近の現象なのです。

逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法

逆境経営―――山奥の地酒「獺祭」を世界に届ける逆転発想法

 

 

日本酒は、これまで何度もブームが起きています。新潟の越乃寒梅、その後の久保田、八海山などの新潟の淡麗辛口のお酒に人気が集まり、お店では買えず、買えたとしても非常に高値に流通していたものでした。

 

今では、獺祭だけでなく、新政、十四代など、新たに酒蔵を継ぎ、新しい取り組みを行う蔵人たちが注目され、人気が集まり、プレミアム価格で流通しています。

 

なぜ、ここまで獺祭は成長できたのでしょうか。

 

櫻井さんは、逆境であるからこそ、新しい取り組みがやりやすかったといいます。山口県岩国市の4番手のメーカーで、当時焼酎ブームで、日本酒は売れず、売上は急減していました。そんな中で、先代の急逝により、社長となった桜井氏は、潰れるぐらいまで来ていて、死ぬか生きるかの状況、であれば、やれることをやりきろうと決心をしたのです。

 

小さな酒蔵だから、小規模な仕込みでないと出来ない純米大吟醸にしぼる。地元で勝てないので、東京の市場に打って出る。経営難で杜氏がいなくなってしまったので、桜井氏と社員で、数値管理をもとにした品質の安定化を測る。こうした努力で、評判を獲得して、いまの獺祭の地位を築いています。

 

一過性のブームや希少性で販売を伸ばすのではなく、美味しい日本酒を多くの人に飲んでもらいたいという成り立ちを知ると、「獺祭を高く買わないでください」という新聞広告の意図もよくわかるでしょう。

 

獺祭を飲むと、そのような歴史を知らなくとも、素直に美味しいと言えるお酒です。ですが、獺祭というブランドの成り立ち、思いを知ると、もっと美味しく飲めると思います。 

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