本を読むときに、その本がどのようにして作られたかを考えながら読む。今回読んだ本はこちら。『かかわり方のまなび方』
かかわり方のまなび方: ワークショップとファシリテーションの現場から (ちくま文庫)
- 作者: 西村佳哲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/10/08
- メディア: 文庫
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『自分の仕事を作る』の西村さんが、30歳の頃。多摩美での非常勤講師をすることがきっかけとなり、「どのように教えればいいか」の壁にぶつかることとなった。その壁にぶつかり、ワークショップという言葉を手掛かりに、どのような立場で教育に関わればいいかを探求した結果が本書である。
本書の構成はとても面白い。まず、いきなり「自殺防止センター」の西原さんへのインタビューから始まる。その後、30歳のタイミングでぶつかった壁について、西村さんの悩みが綴られる。「どのように教えればいいか」という悩みの根本には「どのようにかかわればいいか」という本質的な悩みがあったという。
そこで、人々のかかわり合いを生業とする「ファシリテーター」というあり方に着目して、13人へのインタビューの記録が綴られる。
その後に、ワークショップとは何か、「人の見え方」という章となる。
まさに本書ができた背景と問題意識、そしてそこから名ファシリテーターからの学びを通じて見えてきたワークショップのあり方、人というもののあり方について、西村さんが学んだ記録がまとまった本書と言える。
どのように本が作られたかを考えるには、本書の構成は非常にわかりやすくできているため、格好の題材だ。本ができるまでのプロセスと著者の成長の過程がわかり、とても面白いノンフィクションでもあった。