迷い鰹という、ものすごく美味い鰹に出会って以来、鰹に興味を持っている。
迷い鰹は、太平洋側に回遊するはずの鰹が稀に、迷って日本海側に周り、日本海の豊富な魚介類を餌に身が全身トロのような脂ののりになった鰹。
というような、話なのだが、実際は鰹の種類が違うのではとも思っていた。
実際に、福井、富山、石川などで取れる鰹は全身がマグロのトロのような上質な鰹に出会う確率が高い。
一方でスマガツオは全身トロの身であるので、スマガツオのことを迷い鰹と呼んでいることもあるのではとにらんでいた。
スマガツオを是非食べて検証したいと思っていた矢先、初めて行く魚屋でスマガツオが手に入った。
見た目は鯖のよう。半分が皮目炙り、半分は生。
いよいよ味わってみると、これは今まで食べた迷い鰹ではない。
身は鯖のような旨味と青臭さ、鰹の風味もあるが、どちらかと言えば鯖に近い旨味。今まで食べたことのない、味わいの鰹である。
スマガツオはなかなか食べられない美味しい魚ではあるが、北陸あたりで取れる迷い鰹とは方向性が違う。スマガツオは鯖の旨味の方向性であり、迷い鰹は鰹の旨味を極端に高めた方向性である。
こうやって一つ一つ新しく美味しいものを知るのはとても楽しいことである。
