くらしのちえ

良いものは作り手の知恵が詰まっています。選んだもので暮らしはつくられます。そんな暮らしの一部を紹介します。

ボリート

お肉を茹でるという調理法をボリートと呼ぶ。お肉を茹でると、お肉のエキスが茹で汁にでてしまう。だから、お肉自体を味わうためには、焼くほうがいいとずっと思っていた。しかし、脂の多いお肉はむしろ、脂のエキスが抜けたほうが美味しく食べられるし、お肉のエキスが出た汁はスープとして活用できる。しかも、保存が効き、様々に応用することができる。

これは、玉村レシピから学んだことである。

 

毎日が最後の晩餐-玉村流レシピ&エッセイ-

毎日が最後の晩餐-玉村流レシピ&エッセイ-

  • 作者:玉村 豊男
  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: Kindle版
 

 

ここ10日ほどで2回ボリートを作った。牛肉の脂の多いのと、油の少ないのを比較するのが最初、次には豚肉と牛肉を比較した。

 

まずは、モモ肉の脂の多いもの。黒毛和牛モモ肉である。300グラムを肉屋さんで切ってもらう。1300円/gであった。

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こちらは、国産牛モモ肉で400グラム。脂はほとんど無く、リーンな肉である。500円/gであった。
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玉村レシピのボリートは極めてかんたんな調理法であり、それが肝である。イタリアピエモンテ州の郷土料理のボリートbollitoから名付けられているが、それとはコンセプトが異なる。肉を茹で脂を落として食べる、ステーキのように火加減の調整無くでき、保存もでき、難しくないシンプルな調理法である。だから、普段常備していないようなスパイスなどは不要。一応、ニンニクと生姜を入れるが、それすら無くてもよい。水から強火で茹で、まずアクを取る。その後は弱火で2時間ほど煮るだけである。

 

 


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取り出して、手前が黒毛、奥が国産。
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2時間煮たので、ホロホロと崩れる。こちらが国産。リーンなだけあり、ぱさつく。コンビーフのような食感になった。あれだけ煮たのに肉の味はちゃんとある。これはこれで美味しい。

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こちらが、黒毛。黒毛は2時間茹でても脂がある。旨味も残っている。脂の多い肉をステーキにして食べてきたが、脂に飽きてたくさん食べられないことが何度もあった。味が濃すぎるのだ。適度に脂が抜けたボリートなら食べられる。
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どうやって食べるかといえば、好きな調味料をかけて食べる。醤油やオリーブオイル、塩、胡椒、柚子胡椒など。リーンな国産は、オリーブオイルをかけるのが良いようである。

全ては食べ切れる量ではないので、食べられるだけ食べて、あとは冷蔵庫で保存。スープは鍋に入れて、涼しいところにおいておく。

 

それで、そのままお肉を食べると言うこと以外にも色々と応用が効く。まず、スープを大根と煮ると、コムタンスープになる。この大根、美味しいスープのだしを吸ってそのまま食べてもとても良い。

肉、大根、スープが手に入った。

 

ラーメンに肉、大根を切って入れれば、牛肉麺である。
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台湾の牛肉麺とは違うが、乾麺のラーメンの具に肉を入れようと思っても、準備が面倒なところ、これは冷蔵庫に入っているものを入れるだけで便利に使える。
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スープと大根に豆腐を入れる。それだけで夜ご飯の一品。
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別の日の昼ごはんには、スープを使って、うどんをつくる。
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そして、牛肉以外にも豚肉はどうかと、豚肉のボリートをつくる。

前回、2時間ほど茹でると、ホロホロとなり、歯ごたえがほしいと思ったので、今回は1時間にした。1時間の豚肉は、かなり歯ごたえがそのまま残っているので、そのまま食べると、やや硬いと感じる。

 


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しかし、これを応用して使おうと思うと、色々使い勝手が良い。スープにすべてのだしが出ていく前だから、肉片にも味がちゃんと残っている。

 

正月のお雑煮には、豚肉を切って入れてある。
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全粒粉を使った肉まん。
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高菜とボリートした豚肉を混ぜている。
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蒸し野菜とボリートの豚肉。豚肉だけではなく、鶏ササミも入っている。

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お雑煮2回め。
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肉を生で保存し、食べたいときに火を通すというのが、今までだった。しかし、ボリートを知ってからは、茹でて保存し、そしてそれを様々に応用して楽しむすべを知った。また、脂の多い牛肉はあえてボリートしたほうが、美味しく食べられる、無理してステーキにすることはない、脂の多い牛肉の活用方法ができたのが嬉しい。

 


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