お金があっても、いいものはなかなか買えない。逆に、お金がなくても、いいものと出会うことができる。つまり、買う人の見極める力が試される。そんな世界が骨董である。
骨董にも、様々なジャンルがある。器、絵、おもちゃ、道具など、古いものであれば、和洋問わず、世界のあらゆるものが売買されている。骨董市などにいくと、本当にいろいろなものが売られていて、こんなガラクタを買う人がいるのかと驚いて値段をみると、もっと驚くなんてことがよく起こる。知らない人にとってガラクタでも、それを集めている人にはお宝なのである。
そんな難しい骨董品と呼ばれるものを買い出して、2年程たった。集めているのもは主に器である。料理や、お酒に使えるもの。使うための骨董である。
使うための骨董に行き着いたのは、普段使っている器に興味を持ったから。特にお酒のための器である。お酒を飲む際に、どんな器でも、紙コップでも、容器としての機能は持っている。でも、器そのものによって、飲んでいるときの気分は違う。全くの主観の世界である。紙コップで飲むお酒よりも、ちゃんとした器で飲む方が気持ちがいい。ある時、そう考えた。では、どんな器がちゃんとしているのか。お酒の中でも、日本酒を飲むシーンを想定した。日本酒は、日本の伝統の商品である。それを、昔の人が飲むような器で飲んでみたらどんな気分か。それを試してみたい気持ちになった。その時、古い器は買ってみようということになり、まずは、よくわからないので調べたり、お店で器を見たりするところから入る。そこから、いよいよ一個買ってみようとなり、買ってみてから使って知り、お店の人から教えてもらい、いろいろな経験をすると、これは面白いぞとなっていく。これが私の骨董への入門であった。
自分が好きな物で古い物を探そうとした時が骨董というものに入るきっかけである。そのジャンルを自分で考えてみると、時間軸という幅広いものの世界がそこにある。今現代のものばかりに目が行きがちだが、古いものにも目配せしてみると、面白いのである。