崩しながら食べるものは楽しい。
参鶏湯の鍋をつつきながら思いました。
崩しながら食べるものを思い浮かべると…かき氷、パフェ、どんぶりに乗った温泉卵、丸々1匹の煮魚、ばらちらし…
最初に箸(スプーン)を入れる瞬間と次はどこを攻めようかと思案しながら食べる、その時間は食べる楽しみを増幅させてくれます。
豆腐ど真ん中鍋の誕生
この「崩す」楽しみを鍋にも応用できないか。そんな思いからできた鍋が「豆腐ど真ん中鍋」です。
参鶏湯のように、まるまる一羽の鳥を買って…はなかなか大変です。
何か同じようなことができないか…。冷蔵庫の中を見ながら、行き着いたのが豆腐1丁をまるまる使って、中をくりぬいて、具を詰める方式でした。(まるで鳥のお腹にもち米やナツメや栗を詰めるように)
そして、豆腐が1丁、中央に鎮座している姿はインパクトがあって面白いはず。
豆腐ど真ん中鍋とは
次の2つを満たします。
①豆腐を1丁使っていること
②豆腐1丁の真ん中をくり抜いて中に具材を詰めること
です。
普段の豆腐の使い方を変えるだけ。たったこれだけで、いつもの鍋に「崩す」行為が加わります。そして、鍋では脇役になりがちな豆腐が日の目をみます。
豆腐のくり抜き方
豆腐をくり抜きます。完成イメージは「升(ます)」を作る
脇1㎝を残すように包丁を入れる。※豆腐の底にまで包丁の刃が達さないように注意
そっと中身を取り出します。(取り出した豆腐は鍋の具材として使用)
これで主役の豆腐は完成です。
麻婆豆腐ど真ん中鍋
この中央に何を詰めるか。楽しみは無限に広がっています。豆腐といえば、麻婆豆腐。ということで、麻婆豆腐味の具材を詰め込んでみたところ、大ヒット。
麻婆豆腐を分解したものを、鍋のクライマックスに向けて麻婆豆腐に仕上げて行くという感じです。この表現、分かりにくいかもしれませんが、麻婆豆腐単品を食べるよりも、楽しみが広がっていました。
「麻婆豆腐ど真ん中鍋」作り方
(1) 中に詰める種を作る
材料は麻婆豆腐の具材と一緒。豚バラスライスのみじん切り、ネギ、生姜、味噌、豆鼓醤、豆板醤、くり抜いた豆腐少々。
※片栗粉は入れません。豆腐の中でしっかり固まりすぎると旨味が鍋に溶けにくくなるため。
※山椒を入れると美味しいです。山椒は、花椒と青山椒2種類入れると本格的になります。
よく混ぜ合わせます
(2) 具材を豆腐に詰める
隙間がないようにぎゅっぎゅっと詰めます。豆腐を崩さないように優しく。
(3) 鍋の7分目を目安に、スープと野菜を用意
豆腐が鍋底に直接接しないように野菜のクッションを作ります。
今回は、鰹だしに、白菜とニンニクです。
(4) 豆腐を投入して、野菜を詰める
野菜に火が通ったところで豆腐を投入し、豆腐の周りに野菜を詰めて行きます。
(5) 蓋をして弱火で10〜15分でできあがり
豆腐の中の具材に火が通るまで待ちます。
豆腐ど真ん中鍋の食べ方
食べ方はもちろん自由ですが、こうやって食べたら最大限に楽しめましたという話です。周りから徐々に中央に攻めるのが攻略ポイントです。
(1) はじめはスープと白菜を
ほんのり麻婆豆腐のスパイシーな香りが。あっさりしたスープとクタクタの白菜を楽しみます。
(2) 次は、白菜に具材を巻いて食べる
下味をしっかりつけているので、付ける薬味のように少しずつ白菜と共にいただきます。
(3) いよいよここから豆腐を少しずつ崩し始める
ここで麻婆豆腐味を楽しみます。豆腐に具をたっぷりつけていただきます
(4) 最後は豆腐を全て崩してスープと具材を一体化
鍋が空っぽになる美味しさです。
応用編:餅と卵を詰めた「茶碗蒸し風ど真ん中鍋」
卵と餅を詰めました。茶碗蒸し風でしょうか…
「茶碗蒸し風ど真ん中鍋」の作り方
くり抜いた豆腐に餅を入れます
※卵は液体なので、豆腐を鍋に入れた後で(安定したところで)投入
鍋の7分目くらいまで具材を入れて豆腐を支えるクッションを作っておきます。
(直に豆腐と鍋底が接すると焦げるため)
豆腐を入れます。
卵液を投入。
豆腐の周りに野菜と具材を詰めます。
蓋をして弱火で10分ほどで豆腐も中の餅もアツアツに。
まずは豆腐の周りの具材を楽しみます。いよいよ、ど真ん中の豆腐を崩します。
餅がとろりとして、卵は茶碗蒸しのようなまろやかな優しい味わいになっています。
そして豆腐の中央から出てくるモチモチ新食感が面白い。
最後は餅も豆腐も鍋に溶け込んでスープと一体化。透明だったスープは白濁したスープへ変わりました。
イベント的でバリエーション無限の豆腐ど真ん中鍋
「崩しながら食べる」は、やはり面白いです。
鍋を囲む時間はおかずとご飯の食卓より長くなります。ど真ん中鍋は「崩す」行為が加わっていつもの鍋の時間がもっと長くなり、食卓がイベント的になります。
そして、豆腐があらゆる具材と馴染んでくれるので、具材はアイディア次第でなんでもできる。バリエーション無限です。
また新たな「豆腐ど真ん中鍋」が誕生したらご紹介します。
ちなみに、豆腐百一珍というタイトルは、「豆腐百珍」にちなんで付けました。豆腐百珍にも載らなかった豆腐の新たな料理法だろう、すなわち百一珍目…と思って命名。
豆腐百珍とは江戸時代に出版された料理本で、豆腐の100種類の調理方法を解説した本です。
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